【連載】古いものを大切に、和のテイストも上手にとり入れて（第2回）
アンティークの国フランスで生まれ育った夫のDさんと、日本の仙台で造園業に携わるお父様のもと緑に親しみながら育った妻のKさん。フランスと日本というだけでなく、おふたりそれぞれの価値観や考え方があったからこそ生まれたD邸。古いものを大切にしながら日本のものを上手に取り入れた住まいづくりには、参考になるリフォームのヒントがたくさんありました。
| 築年数 | 46年 | 工期 | 約３ヶ月 | |
|---|---|---|---|---|
| 工法・構造 | 在来工法 |
もとの家の良さを残すことで生まれた新たな魅力
「以前のオーナー様は父が作った庭のお客様で、事情があって手放すことになられたのですが、古い割にはすごく素敵なおうちだったので、父が『そのまま買います』と、お庭も家具も全部ひっくるめて購入したものなんです」とKさん。それを譲り受け、ご夫婦でリフォームされることとなりましたが、おふたりともこの家自体がもともと持っている魅力を大切にしたいという思いをお持ちでした。
たとえば和室の一角には、以前の家にあった欄間がデザインに組み込まれています。
モダンな琉球畳の和室はリビングにも違和感なく溶け込んでいますが、欄間部分をあえて外に向けて配置し、リビング側が和に寄りすぎないようにバランスがとられています。また味わいのある竹の照明も、前オーナー様が使われていたもの。和の良いものが程よくとり込まれた心地いい空間となっています。
ここは間仕切ることもでき、客室としても利用可能。小さなお子さんがいるお友だちにも、畳でくつろげる場所として好評なのだそうです。
玄関を入ってすぐのところにある味わい深い木の階段も、ご夫婦たっての希望で残した前の家のものです。
前オーナー様がリビングで使っていたレトロな雰囲気のランプも、玄関で使うことに。
「カフェなどでも、古いものをミックスさせるのが上手なインテリアは多いじゃないですか。ミックスさせたほうが、エコだし、こなれ感も出ると思ってやってみたんです」とKさん。あえて古いものを残すという、リフォームだからこそできる魅力的な住まいづくりです。
古きを訪ね、新しきを知る
「我が家は元は工務店が作った家。外は庭師の父。そして新しい玄関の石張りはおじです。日本ならではの職人技を残しつつ、今回スウェーデンハウスリフォームさんがリフォームしてくれたことで、今と昔の良いところがミックスされました」とKさん。
大きな庭も、プロであるお父様に芝はりなどを手伝ってもらいながら、だんだんと手入れしていく楽しみもあります。予算の関係もあって外観はほとんどそのままに、気密断熱性能を上げる施工だけをしたD邸。一歩中に入るとまた別世界が広がる驚きもひとつの演出と言えそうです。
階段側の窓はFIX窓にして、お月様みたいなランプが外から見えるのもポイントに。外の竹垣も日本古来のものですが、また雰囲気が出ています。
2階の廊下奥に位置する２つの部屋は、気密断熱施工もしないまま、もとの和室をそっくりそのまま残しているのも、このご夫婦らしいところです。その２部屋は、DさんとKさんそれぞれの趣味のものがつまった“オタク部屋”。夏暑くて冬は寒い部屋ですが、そんな季節ごとの情緒も楽しみながらの自室となっています。
「夫は、すごく古いものを大切にします。その考えに私も影響を受けています。古いものを引き継ぐことはエコだし、個性が出ます」とKさん。最初は「いつかは新築のマイホームを」という気持ちもあったのが、だんだんとその思いも変わり、この家を見たときに「ああ、これならリフォームしてもいいかな」というイメージがわいたのだといいます。
Dさんのお気に入りスポットは、庭が眺められる書斎コーナー。気持ちよく勉強もはかどる場所になっています。前オーナー様も、かつてここに書斎を設けてたくさんの本を並べていたそう。時代を経てまた同じ場所を愛でる、そんなストーリーにもロマンがあります。
ラタンのテーブルとチェアも、前オーナー様から受け継いだものです。しっかりしたつくりの良いものは時を経るほどにアンティークとして魅力を増していく、そのお手本のような存在感。ここで読書する時間も、また一層充実したものとなりそうです。
第３回「リフォームで追求する快適な住まい」へと続きます。
https://swedenhouse-reform.co.jp/column/relive15_2-3/
第1回「『カルペ・ディエム』を実践するためのリフォーム」はこちら
https://swedenhouse-reform.co.jp/column/relive15_2-1/
