薪を焚いて過ごす贅沢な時間を教えてくれた14年目のリフォーム
昨今、自然災害が多く感じられる日本。
薪ストーブは「いつか欲しい憧れのアイテム」というだけではなく、「非常時に頼りになるもの」としても存在感が増しています。
普段は便利なオール電化も、電気が止まってしまえば暖もとれず、ちょっとお湯を沸かすのも難しい状況に。また、ガスは電気より復旧に時間がかかることが多いため、ガスコンロのお宅も他人ごとではありません。
東日本大震災をきっかけに、薪ストーブを導入されたKさんの実例をご紹介します。
住まいの性能もしっかり保持できるリフォーム施工を
これからは電気だけに頼らない暮らしがしたい。愛犬の楓(ふう)ちゃんと暮らすKさんご夫婦がそう思うようになったのは、あの東日本大震災からだったといいます。
そこで選んだのが「薪ストーブ」。
真冬に訪れたご友人宅で、そのほっとするような暖かさを体験したのがきっかけです。
もともとエアコンがあまり好きではなかったこともあり、以前は冬になるとリビングにこたつなどを置いて過ごしていたKさんご夫婦。
こたつを置くと、一度そこへ入ったら最後、もう出たくなくなってしまうのが常でした。念願の薪ストーブを設置してからは、リビングでの過ごし方も一変したようです。
朝が早いKさんは、5時頃に着火。また夕方には妻のKさんが火を焚いておくのが冬の間の日課となりました。
寒さに身を縮めながら帰って来るKさんを、薪ストーブのじんわりとした暖気がやさしく迎え入れます。
夜は、薪を2,3本入れて就寝。3時間ほど燃えて消えたあと、朝まで暖かさが残っているそうです。
木が手に入ると、エンジン式の薪割り機を使って薪割り。休日の薪割りは一年を通してのいい運動になっているそうです。
生の木は割ってから2年ほど乾燥させる必要があるため、庭や玄関脇に専用の薪置き場もつくりました。
薪ストーブの設置で一番のポイントになる「煙突」
薪ストーブは外気を取り入れて薪を燃やし、煙突から排気する必要があるので、壁や屋根に穴を開けなければなりません。
気密性の高いスウェーデンハウスの性能を損なうことがないように、綿密な施工が必須でした。
煙突はまっすぐ立ち上げるのが理想的ですが、標高や地形など、設置場所の条件によってベストな形をプロが判断します。
風の影響を受けないように、また近隣に迷惑がかからないように排気するため、ある程度の高さも必要。
家の気密性や断熱性を確保するため、メンテナンスを考慮しながらある程度の高さまでの煙突囲いも設置しました。
Kさんのお宅では、2階の外壁と内壁の間のスペースに煙突を通すことができました。
メンテナンスの点検口もしっかりと断熱施工しています。
「設置場所の仕様」も確認
薪ストーブの下には、炉台(炉床)の設置が必要となります。建築基準法や消防法、その地域の条例に基づき、家の構造や薪ストーブの種類によっては遮熱壁も必要となってきます。
多くは100~300kgほどの薪ストーブですが、中には300kg以上の重さのものも。これらの総重量によっては、床の補強工事も必要になります。
今までご紹介した通り、薪ストーブを設置するには、屋根や壁、床などに穴を開ける施工が必要です。
施工自体は一年中可能ですが、住みながらのリフォームでは、春から梅雨前か、暑さの和らぐ秋口に行うのがおすすめです。