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2020.11.16

55+(55歳からの北欧ライフスタイル)
第4回 ペイェ・エミルソンさん(71歳)「やりたい仕事を続ける方が人生はずっと充実すると思う」

日本では「アクティブシニア」と言われますが、スウェーデンには「55+(フェムティオフェムプルス)」という言葉があります。
これは、55歳からの熟年世代、65歳で定年になる10年前から老後の人生設計を始めようという考え方です。
子育ても一段落して、自分の時間が持てるようになる「55プラス」世代。
そんな心身ともに充実した方のライフスタイルを、北欧スウェーデンから日本へお届けします。

Written by 山本 由香/Photo by Peter Bruselid

ストックホルム郊外のホームオフィス

ストックホルム郊外のリーディンゲに暮らすペイェ・エミルソンさんは、定年を過ぎても勢力的に仕事を続けています。ご自宅は湖の見渡せる高台にあり、奥様と2人暮らし。3人の子どもたちはそれぞれ独立し、孫は7人。みなさんストックホルム近郊に暮らしているそうです。

ご自宅のリビングルームのバルコニーからは湖が見渡せて、時おり通る船を眺めるのがお気に入り。インテリアは、ゴージャスなロココ調を少し控えめな北欧スタイルにアレンジしたグスタビアン様式です。椅子、テーブル、ソファ、家具にこだわりを感じます。特にアンティークの陶器製暖炉が目を惹きます。

リビングルームの端には1階に降りるらせん状の階段があり、1階にはペイェさんのプライベートスペースとホームオフィスがあります。使い込まれたブラジル製の椅子、船の模型、本棚に整頓されたたくさんの本など、ペイェさんのお気に入りがずらり。パティオに面した向かい側の部屋はプライベート兼ミーティングルームとして使うそうで、若い頃によく乗ったヨットの思い出を残し、海をイメージしたインテリアとなっています。

元気なうちは100%仕事を続けたい

ペイェさんは、PR/コミュニケーション・コンサルティング会社「クレアブ/KREAB」の経営者という立場もあり、70歳を超えても現役で仕事をしています。1970年代に3人の仲間とともに設立した会社は、今や世界25ヵ所に拠点を構える大企業へと成長。日本にも支社があり、何度か日本にも訪れたことがあるそうです。

ペイェさんに定年を過ぎてからも働くことについて尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「定年後の過ごし方は人によって異なるし、働きたいかどうかは人によりますが、私は元気なうちは100%仕事を続けたい。これからは定年だからといって仕事をやめる時代ではなくなってくるでしょう。やりたい仕事を続ける方が人生はずっと充実すると思う」

国境を超えて世界各国の拠点とミーティングをこなすペイェさんは、朝と夜はホームオフィスで仕事をすることが通例になっています。日中はストックホルム市内のオフィスに顔を出しますが、現代はネットや携帯で仕事ができるので、ペイェさんもポータブルでどこででも仕事をしているそうです。ホームオフィスは、仕事とプライベートを区別しづらくなるものですが、自分の気に入ったものに囲まれ、リラックスしながら仕事ができる空間となっています。

スウェーデンの年金事情

スウェーデンの定年は通常65歳。多くの人は定年を心待ちにし、年金生活に夢を馳せています。現役時代にはできなかった趣味にいそしむ人もいれば、最近は気候の温暖な南スペインにセカンドハウスを持つことなどもブームに。現在の年金生活者の9割以上が「今の生活に満足している」という統計も出ています。 一般企業で働くサラリーマンの場合、61歳のときに「そのまま仕事を続けるか、退職するか」を自分の意思で決めます。希望すれば65歳より前に退職して年金を受け取ることも、67歳まで仕事を続けることも可能です。67歳を超えても働きたい場合は、企業側の同意も必要となります。日本と同様、早く年金をもらえば月々の支給額は下がり、引き延ばせば支給額が上がるしくみ。元気な人は67歳まで職場に残る人も増えているようです。


Written By 山本 由香
ストックホルム在住のデザインコンサルタント。スウェーデンのデザインとライフスタイル情報を発信するサイト「スウェーデンスタイル」を主宰しながら、スウェーデンと日本をつなぐ活動を行っている。北欧のパターンデザインに特化した事業スカンジナビアンパターンコレクションも展開中。

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