Panasonic 最新の「匠加熱IH」の誕生秘話が聞きたい!(前編)
基本の鉄・ステンレス以外にアルミや銅の鍋が使える機種もあれば、鍋ふりもできる。ここ20~30年で大きく進化しているIHクッキングヒーターですが、2024年に生まれた「匠加熱IH」はまた別格。10個のピースコイルで実現したこまやかな機能に、また新たな時代の到来を感じさせます。その開発の舞台裏とは?
(写真左から)パナソニック株式会社キッチンソリューションBU IHクッキングヒーターSBU
IHマーケティング企画部マーケティング企画課 久保 慶太郎さん
IH技術部 要素技術開発課 浅野 正人さん
神戸工場 工場管理課 富永 大地さん
神戸工場 生産プロセス技術課 塩口 智也さん
IH技術部 ソフト設計課 野口 綾子さん
チャーハンだってお手のもの!まだまだ知られていないIHの実力
――2025年はパナソニックの家庭用200V IHクッキングヒーターが誕生して35周年。その前年に発表された「匠加熱IH」にも、またすごい技術が結集していますね。
久保 ありがとうございます。弊社も初号機は数台でしたが、今では年間出荷台数も30万台規模に。業界全体でもIHの普及率は全世帯の約3割、戸建てでは4割ほどというデータもあります。
――リフォームでも、IHを選ばれる方は多い印象です。お手入れのしやすさや、火を使わないところなどはご高齢の方にも安心ですよね。早いうちにIHに慣れておいたほうが良いという話も。
富永 そうですね。あと、意外とみなさんに知られていないのが、「IHは高火力」だということです。実はIHって、鍋底自体が発熱する仕組みなので、すごく熱効率が高いんですよ。
浅野 IHの熱効率は約90%以上を維持しています。だから、お湯なども早く沸かすことができるんです。まわりに拡散する輻射熱が少ないので、夏場も涼しく快適に調理できるのも利点ですね。
久保 まだイメージが浸透していませんが、チャーハンなどはIHの高火力でパラパラに仕上がると評判なんですよ。
(写真上)「匠加熱IH」が搭載されているのは、最上位機種のSシリーズ。広い加熱エリアを使って鉄板料理なども楽しむことができる
――昔は、使える鍋が限定されていたり、鍋ふりできなかったりというイメージがありましたが、そのあたりも進化していますよね。市販のステンレス鍋や鉄のフライパンも底が平らならだいたい使えますし、アルミ鍋や銅鍋が使えるオールメタル対応の機種も。鍋ふりをするのに一度フライパンを離しても、戻せばすぐに検知するから、そこで電源が切れるようなこともないんですよね。
野口 センサーは進化していますね。パナソニック独自の「光火力センサー」では鍋底の温度がより正確に検知できるようになっていて、強火で一気に加熱しても、鍋底を正確に検知して火力を自動コントロールするので安心です。
加熱を極めた「匠加熱IH」とラクッキングリルで広がる料理
――話題の「匠加熱IH」が搭載された最上位機種、Sシリーズでは、さらに「光火力センサー+」が搭載されているんですよね。70度の低温度帯から検知できて、お料理アシスト機能も充実したとか。煮込みアシストを使って20分でつくっていただいた肉じゃがにも感動しました。
浅野 20分というのは、「手間いらず」で「時短」したいという開発のコンセプトからも、譲れない目標でした。
――まさに時代を切り拓いていますね。ラクッキングリルにもIHが搭載されていて(S/Aシリーズ)、低温からの温度設定ができるようですが。
塩口 オーブン調理でローストビーフもつくれますよ。実は、グリルにIHを搭載しているのはパナソニックだけなんです。グリルの庫内もフラットになっていて、お手入れしやすい設計になっています。
――「凍ったままIHグリル(S/Aシリーズ)」なども驚きの機能でした。先ほど、冷凍庫から出したカチカチの鶏肉をそのままグリルに入れて「とり塩焼き」メニューを実演していただきましたが、本当に23分ほどで皮もパリッとジューシーに焼けて。
浅野 開発では、予熱なしにもこだわりました。ポイントとしては解凍時のドリップをいかに出さないか。熱の伝わりが早いIHで一気に温度を上げていくことで、ドリップが出やすい温度域を早く抜けることができているんです。
――事前に解凍する手間が省けるだけじゃなく、そういった科学的な部分もおいしさに直結しているんですね。「匠加熱IH」の料理アシストメニューも、開発のご苦労はたくさんあったでしょうね。
野口 そうですね。朝の9時に出社してから、一日ずっと餃子を焼いたり……。鍋を変えながら1週間ずっと餃子を焼く、みたいなこともありましたね(笑)。
浅野 それが炒め物になると、さらに手に負担がかかるので申し訳なくて。でも「匠加熱IH」は、料理のプロである野口と一緒に開発できたところも強みです。僕は料理に関してまったくの素人なので(笑)。「そんな料理の仕方はない!」なんてところから、形にしてもらいました。
(写真上)具材も調味料もすべて入れて、落し蓋をしてスタート。Sシリーズなら、火加減おまかせで20分待てば肉じゃがが完成!鍋底が焦げることもなく、味もしっかりしみた肉じゃがに。すぐ横に皿が置けるのもIHの魅力のひとつ
――そうでしたか(笑)。もしかすると、そういうお2人を軸に開発されたことで、普段あまり料理をしないような方にも使いやすくなっているかも知れませんね。
野口 そうなんです。IHはシニア向けのイメージもありますが、実はご家庭で誰でも安心してお料理ができるというところもあって。小さなお子さんも、早くから一緒にお料理ができるようになったというよろこびの声が届いています。
――確かに、安全に調理ができて、お子さんの食育にも良いですね。そういったところにも、IHの可能性を感じます!