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2025.10.02

サンゲツ「フィンレイソンの壁紙」の誕生秘話が聞きたい!

1820年創業、フィンランド最古のテキスタイルブランド、フィンレイソン。1950年代からは自社のデザインチームで数々のテキスタイルパターンを世に送り出しています。そんなフィンレイソンとサンゲツがコラボしている大人気の壁紙シリーズ。その制作の舞台裏を、4人の立役者にうかがいました!

(写真左から)
■橋本真希さん 
株式会社アンドフィーカ/ライセンシング・コーディネーター
■北出ありあさん
株式会社サンゲツ/壁装ユニット 商品開発課
■澤井千里さん 
株式会社サンゲツ/壁装ユニット 戦略企画室 窓装飾プランナー
■今泉幸子さん 
株式会社アンドフィーカ/代表取締役



シリーズ開始当初に選ばれたのは今でも大人気な3つのデザイン

―今日はサンゲツの商品企画をされている澤井さんと北出さん、フィンレイソン本社との契約や企画調整を担われた今泉さんと橋本さんに、お話をうかがいます。このフィンレイソンの壁紙シリーズは、どんな経緯から生まれたのですか?

今泉 フィンレイソンは、北欧フィンランドでは90%以上の人が知っている馴染みのあるブランドです。実はフィンレイソンの壁紙があるのは日本だけで、本国では暮らしの中のテキスタイルとして寝具などによく使われているんです。サンゲツさんとお話をする中で、「日本の住宅の壁はほとんどが白」だと伺って、だったらこのフィンレイソンに囲まれる暮らしがあったらいいなと思いました。壁って、どこの家にもあるものですから。北欧ブランドは日本だと「ちょっと特別なもの」と捉えられがちなのですが、もっと気軽に、いろんな方に取り入れてほしくて、ベーシックな価格帯にもこだわりました。

―海外の壁紙は高価な紙製のものなども多く、お手入れの問題で水まわりには使いにくいところも。フィンレイソンの壁紙は丈夫なビニル製なのもうれしいポイントですよね。

澤井 そうですね。塩化ビニル製なので、汚れが付いた場合は水拭きしていただいても大丈夫です。ただ、固く絞ったスポンジやタオルで拭いていただくことと、漂白剤などの強い薬剤は退色の恐れがあるので避けていただくようお願いしています。中性洗剤の薄め液ならお使いいただけますが、最後に必ず水拭きして洗剤をふき取ってください!

―それは安心ですね。日本での展開にあたって、柄などはどう吟味されたのですか。

今泉 フィンレイソンは歴史が長いので、本当にたくさんのデザインがあるのですが、日本で展開するにあたって最初は柄を絞りました。それが「コロナ」「タイミ」「エレファンティ」の3つの柄で、今でもとても人気のあるデザインです。

最初は「コロナ」「エレファンティ」「タイミ」の3柄からスタート
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―この3つを選ばれた理由は?

今泉 「コロナ」は、幅広い層に向けて。フィンレンソンの中でもクラシックな柄で、アイニ・ヴァーリさんの作品です。男性にも人気がありますね。それに対して「タイミ」は、レースを思わせるフェミニンな柄。「エレファンティ」は、本国では子ども向けの柄でしたが、日本では大人可愛いという感覚があるので、大人にも通じる柄として選びました。

コロナの発売当初のカラー(現在は廃番)
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エレファンティ(RE55781)
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タイミ(現在はデジタルプリント壁紙「ハイグラフィカ」でのみオーダーが可能)
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―トロピカルな花々とハチドリが描かれた「ヴィザルス」なども出ましたよね。

橋本 「ヴィザルス」は、私たちも「こういう使い方をされるんだ!」と驚くほどで、壁紙にはすごく向いていますよね。

北出 そうですね。壁に貼ったときにとても映えるし、意外とそんなに強くないデザインなので壁紙として使いやすいと当時の開発担当も言っていました。本当に人気があります。

ヴィザルス(TH32952)
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―「柄ものは飽きやすいんじゃないか」と心配される方もいますが、フィンレイソンの壁紙はそういうこともあまりないように思います。

今泉 ご家族みなさんが受け入れやすいデザインだからではないでしょうか。

澤井 そうなんですよね。男性だからとか女性だからとか子どもだからとかで、好き嫌いが分かれない。見ると思わずにっこりしてしまうような、インテリアの一部になるという点が大きいのだと思います。だから一般住宅だけではなく、クリニックなどの公共施設でも採用いただくことが多いんですよね。

北出 本当に長く使っていただけるデザインですし、フィンレイソンにはさまざまな部屋のテイストに合わせて使える柄が多いのも特徴です。モダンにも和にも、いろいろなシーンで。アクセントだけではなく、全面貼りで使われる方も。

壁紙としてコーディネートしやすいよう考え抜かれた製品

―原画から壁紙製品にしていく過程では、どんなご苦労がありましたか?

北出 パターンを決めていくときは、元のデザインの良さやフィンレイソンらしさは生かしながら、日本のインテリアとの相性が良いように少し彩度を抑えるなどの調整を行なっています。たとえば「サドゥッサ」という木々を描いた柄があるのですが、これはもともと黒い背景だったんです。でも、壁紙が真っ黒だと少し怖い印象もあるので、最終的には背景を白に反転させるデザインとなりました。

橋本 なるほど、と思いましたね。本国では寝具などに使われることが多いので、それだと黒が映えるんですよ。

澤井 原画が「怖くない森」というデザインテーマだったので、あえて白地ベースにするのはどうかなと、開発ではとても悩みました。でも壁紙で使うことを考えると、やはり白背景の方がより使っていただけるだろうということに。

サドゥッサの原画
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―確かに白も原画の繊細さが出ていて、壁紙にはぴったりです。本当に細かいところまで調整されるのですね。柄の大きさなども変えるのでしょうか?

北出 「エレファンティ」などは、壁に貼る際に可愛く見える象さんの大きさを調整して開発しています。大きすぎると圧迫感が出ますし、小さすぎると柄の良さが生かせませんから。それから、触っていただくとわかるのですが、発泡するインクを使ったロータリー製法によって、象さんがぷっくり立体的になっています。「オンップ」というリンゴの柄なども、この製法でぷくぷくと可愛らしくなるように作っています。リンゴの形もひとつずつ調整して、壁に貼ったときに同じものが一直線に並んで見える柄クセなどが出ないようにレイアウトを工夫しています。

橋本 ときどきリンゴから顔を出すいも虫の位置も、オリジナルのままではリピートが固定で同じ場所に続いてしまうのですが、壁紙ではそれがランダムに見えるように調整してもらったんですよね。

オンップ(RE55780)
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ランダムに調整された“いも虫”や齧りかけのりんご(RE55779)
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―すごく細かな気配りですね。最近のトレンドとしては、どんな柄が人気ですか?

北出 最近は暖色系のカラーが人気の傾向にあり、フィンレイソンでは「パンプーラ」や「アン二」のイエローなどが特に人気を集めています。

澤井 床材のトレンドも影響していると思います。広い空間に見える明るい床色が増えているので、それに合わせて壁紙も明るい色が合わせやすいと人気が出ているのだと思います。

パンプーラ(RE55787)
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アンニ(RE55778)
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今泉 「アンニ」のデザインは、特定の花を描いたものではないんですよね。現在ブランドの主任デザイナーであるオスミ・コスキネンが、さまざまな花や植物のパーツを組み合わせて制作したものなんです。だから、何色にしても違和感なく使えますし、季節感も限定されない。それで使っていただきやすいのではないかと思います。

ヘルシンキでの打ち合わせ風景
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デザイナーのオスミさん
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―フィンレイソンは本国に壁紙がないということですが、日本の住まいにデザインが取り入れられて人気を博していることについて、本国の方はどう感じていらっしゃるのでしょう?

今泉 デザイナーが来日して貼られている施設へ行ったときなどは、その壁紙の前に立って写真を撮っていましたね(笑)。本国ではそんなシーンがあまりないので、すごく新鮮なようです。自分のデザインが暮らしの背景に使われることを、とてもよろこんでいました。

―ぜひたくさんの方に使っていただきたいです。お客様に選んでいただく上で、情報発信の工夫などはされていますか?

澤井 今はインスタグラムで商品を探す方も多いので、空間のイメージ写真を提供することには力を入れています。ハウスメーカーさんでも、お客様がSNSで見た写真を打ち合わせに持ってこられることが増えていますよね。

北出 サンゲツではホームページで「着せ替えシミュレーション マイコーデ」というツールも提供しています。部屋の壁紙や床材、カーテンを弊社の商品で試せるシステムで、作成した組み合わせは何枚でもPDFで保存・共有できます。

―お打ち合わせでも使えそうです。ぜひみなさんにチェックしてほしいですね! 最後に、みなさんのこのシリーズへの思いをひと言ずついただけますか?

北出 私は大学生の頃からフィンレイソンのブランドが大好きなので、今ライセンスの担当をさせていただけるのがとても嬉しいです。このブランドの魅力は、デザイナーさんごとに異なる個性が息づいていて、それぞれのスタイルがしっかりとブランドの中で根付いている点だと思います。日本では柔らかな色合いが支持されていますが、フィンレイソンの魅力は鮮やかな原色や大胆なカラフルさにもあります。今後はその魅力を活かしながら、日本の生活空間にも新しい彩りを広めていけるような商品開発を進めていきたいと思っています!

澤井 私はサンゲツがフィンレイソンの壁紙を最初に見本帳で展開した2016年に初めてフィンレイソンを知りました。
個人的にどのデザインも好きですが、中でもVISERRYは特にお気に入りのデザインです!最近は「このデザイン、壁紙で見たことある!」と言っていただくことも増えたのでサンゲツがきっかけでフィンレイソンを知ってもらえてとても嬉しいです。これからも壁紙を通して、フィンレイソンという素敵なブランドを多くの方に知っていただけるようにお手伝いできればと思います。

今泉 私は仕事を通してフィンレイソンに出会ったのですが、本国でその歴史やデザインの宝庫に触れて、これは日本の方に自信を持って勧められると確信しました。このコラボで多くの方に壁紙としてフィンレイソンを知っていただけるのが、本当に貴重なことだと感じています。クラシックな定番も、新しいデザインも少しずつご紹介しながら、これからもフィンレイソン好きを増やしていきたいですね。

橋本 私は商品化にあたってフィンレイソンらしさをうまく調整しながら、日本でたくさんの商品が生まれるよう、橋渡し役としてがんばりたいと思っています。来年には新しいカタログもリニューアルされる予定なので、新しい商品も楽しみにしていただければと思います。

今泉 そうですね。実際に使っていただいているお客様の声もぜひ聞かせていただきたいので、これからの反響もまた楽しみです!

Finlayson™©Finlayson Oy

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