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2024.10.04

トクラスキッチン「Collagia(コラージア)」の誕生秘話が聞きたい!(後編)

まるで工芸品のような仕上げや耐久性を誇る塗装技術、こまかなしかけによる使い勝手の良さにも定評があるトクラスのキッチン。最近では、次世代を感じさせるおしゃれな新シリーズ「コラージア」も話題です。今回はトクラス株式会社企画開発部のおふたりに、その開発秘話をうかがいました!
(写真左)商品企画室・山本拓人さん
(写真右)技術開発室・紺野良文さん

部屋のインテリアにも馴染む ロングライフのキッチンとは

――スウェーデンハウスのオーナー様では築20~30年になってお子様が家を継がれたり、同居されたりするタイミングでのリフォームも増えています。そうするとお子様世代の目線でキッチンのデザインを選ばれることも多いのですが、一方でご夫婦で第二の人生を楽しむためにキッチンを一新される方も多いようです。そのあたりはどうお考えですか?

山本 そうですね、意外とあまり年代は関係ないところもあって。味わい深い色彩が特徴の「テノール」シリーズなども、当初は若い世代に人気が出るかなと思って新シリーズ発売に合わせて、新たなダークカラーをつくったのですが、実際は年配の方も含めて平均的に人気が出ている商品です。

紺野 「リュッケファーブ」もインテリアのトレンドを意識したグレイッシュな10色ですが、広い世代に人気ですね。こちらも主張するんじゃなく、空間に馴染ませるイメージでつくられたカラーなので、そういったところにもニーズがあるのだと思います。

――近年、くすみカラーは本当に人気ですよね。『リ・ライブ』でご紹介したリフォーム事例でも、くすみブルーのコーディネートなどがとても好評でした。

山本 人気ですよね。今年もミラノ・サローネ(イタリアのミラノ市で開催される世界最大級の家具の見本市)には社から何人か行きましたが、そうした場所でトレンドを抑えるのも大事だと思っています。「リュッケファーブ」のカラーのなかでも、テラコッタやセージなどはトレンドを意識して入れていますが、なかなか攻めたカラーですよね。はまるとすごくきれいなキッチンになるのですが、納入事例はまだ少ないようです(笑)。

紺野 好きな方はすごく好きなカラーだと思うんですけどね。

――トレンドを追う一方で、長く愛用するキッチンをどう選ぶかというのも難しいところですよね。

山本 そうですね。そこは常に意識しているところで、やはりロングライフに使っていただけるデザインの開発を目指しています。たとえば「テノール」のカウンターには柄が入っているのですが、これは近い距離で見るのと離れて見るのとで少し印象が変わって飽きないようなところを狙っています。柄があるといっても、すごく派手な柄かというとそうではない、お部屋にもちゃんと馴染むデザイン。他メーカーさんですごく派手なものが出ると、やっぱりそっちのほうが目を引くのでうちにも欲しくなったりするのですが、お客様の幸せを考えたらどっちがいいんだろう…みたいな逡巡をしています (笑)。

テノールカウンターを使ったアイランドキッチン
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実は安定供給が難しい トレンドのマットな質感

――カラーでいうと、トクラスキッチンでは114もの色が自由に選べる「シャインカラー」の鏡面扉も根強い人気がありますよね。

紺野 114色のカラーは一般的にある塗料をそのまま使っているのではなく、自社で色の調合を行っているものになります。
色を正確に出すために、その日の気温や湿度の変化などに合わせて塗り方を変えたりと、たくさんの工夫が必要です
が、これもトクラスならではの技術ですね。

トクラスならではの技術で、114色のカラーバリエーションが出せるシャインカラー
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山本 シャインカラーもトクラスキッチンの大きな武器です。ただ、「鏡面じゃなくてマットなカラーのものはないの?」という声も多くて、そのニーズは近年感じているところでした。それでマットな質感の「リュッケファーブ」が生まれたんです。

――このマットな質感を出すこと自体が、実はとても難しいことらしいですね?

紺野 なかなかほかでは真似のできない技術だと思います。こまかなところで言うと、ここには人造大理石の粉末が入っているのですが、まずは粉をどれくらいの細かさにするかということがありますよね。それに塗装が厚くなりすぎると粉が隠れてしまったり、逆に薄いと粉が出すぎて手触りがザラザラになり、使い勝手が悪くなったりしてしまう。そういう見た目にもきれいで使い勝手がいいというところの調整なども、かなり時間をかけました。「リュッケファーブ」は構想からだと開発に7年くらいかかっています。

――開発されるなかで一番苦労されたところはどこですか?

紺野 品質の安定化ですね。やっぱり塗装の厚みとかで質感や見た目が全然変わってしまうので、どの大きさの扉でも同じくらいの見た目になるようにするのは苦労しました。ひとつのキッチンに並んだときに違和感がないようにしないといけませんからね。本当にちょっとした違いで1枚だけ目立ったりするんですよ。そういうことが発生しないように、何度もくり返し試作して、並べてみんなで見て、ということをしました。

――安定化させるのは機械のほうが得意な気もしますが、人の手でされるんですね?

紺野 人がやることによって、そのものを見ながら変えられるんですよ。

山本 そうやって繊細な調整ができるのは、やっぱり人なんです。もちろん機械も使うのですが、機械を入れても、それだけの技能を持っている人間が扱わないと結局一緒なんですよね。塗料の開発技術も、塗る現場での技術も、両方があって初めてものができあがります。あとは安定的にそれを供給するための仕組みづくりをしていくんです。たぶん、他メーカーさんで初めてこういう事業をやろうとしたら、大変すぎて普通は手をつけないやり方ですよ(笑)。

紺野 うちはロット生産をやらなくて、完全に受注生産なのですが、受注したらなるべく同じ人間が同じタイミングで1邸分のキッチンを製造していきます。それが一番品質も安定するんです。

――本当に一邸一邸に思いを込めてつくられているんですね。

山本 工業製品と言えども、たとえばイタリアのキッチンメーカーでも、大量生産ではなく、職人が少量つくるのを前提に効率化していくというやり方をとっていたりします。うちもそれと近しくて、職人ありきの効率化で品質の安定化をはかるやり方なんです。あのフェラーリだって、手づくりをいかに効率化していくかに機械を導入してつくっていますからね。ちょっと格好良く言っていますが(笑)、それと同じ感覚です。

最終検査前の「リュッケファーブ」の扉。1台ごとに1邸分のキッチンに使われる扉がのせられている
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コラージアに込められた思いと それを形にした独自の高い技術力

――おふたりがトクラスに入社されたきっかけなどもうかがって良いですか?

紺野 私はもともと大学で建築をやっていたのですが、家全体というよりももっと人が使うところをやりたいなというところからのキッチンでしたね。料理とかも結構好きなので(笑)。

山本 私は大学で家具をやっていて、自分でつくって売ったりもしていたんです。最初は普通に家具職人をやろうとしていたんですけど、職人の師匠に「お前はもっとたくさん売るメーカーに一度行ってこい」って言われて。それでいろいろ探したのですが、この会社のキッチンを見て、「なんかこのメーカー変だぞ、普通じゃない!」って(笑)。アールのついたキッチンだったり、棚の奥のほうの仕上げに特殊なものを使っていたり…見えないところまでなんだか変なことをしているんですよ。たぶん、ものづくりがすごく好きな人が多いんだろうなと思って、それで興味を持ちました。

――やっぱり、本当にものづくりがお好きなんですね(笑)。おふたりが開発に関わられた「コラージア」も、本当にこまやかなしかけがいろいろあって驚きます。段になっているところにラックやプレートをセットすればシンクの上で調理作業ができる「スムースワークシンク」も画期的ですよね。

山本 ごはんをつくるとき、いかに楽しくつくってもらうかということをまず考えました。シンクの上が作業台になればカウンターも広々使えますし、水気が出る作業もここならしやすいですよね。それに、楽しくつくるためにはお手入れもすごくラクじゃないと。実はこのラックやプレートをセットできる段差があるのですが、よくある直角のものじゃないんです。ラックはかかるけれども水がたまらないという、絶妙なところで斜めにつくっていて、汚れにくくなっているんですよ。ちゃんと使っていただけるように、何回も試作や荷重試験を重ねて、やっと完成したんです。普通、斜めのところにものはのらないので(笑)。

紺野 バランスが少しでも悪いと落ちますからね(笑)。

――そういうことだったんですか。さすが芸がこまかいですね! シンクの上で調理することを考えて、シンクのサイズを広げたりもしているのですか?

山本 シンク自体はレギュラーサイズです。ただ、トクラスキッチンのシンクは他メーカーさんのものに比べてもともと広めだったので、そこをより活かした形ですね。シンクをもっと大きくするアイデアもあったのですが、広がったら広がったでまた洗う場所が増えてしまうので、このままのサイズのほうが効率的だよねという結論になりました。あと、このラックを外すと何もないシンプルなところも特徴です。

――なるほど、どういう考え方からでしょうか?

山本 今はいろんな価値観のお客様がいらっしゃるので、「世の中的に普通はこう」みたいなカゴがどこかについていたりするのも違うかなと。あのカゴって、実は一番洗うのが大変で嫌がられるんですよね(笑)。INSTAGRAMなどを見ていても、そういったカゴは一切なくしちゃってるユーザーさんも多いんです。なんか市販のクリップでスポンジを留めていたりするんですけど。いっそ何もないシンプルなものにして、そこにスポンジを置いてもいいし、気になる方は市販のラックを買ったりしてもいいようなつくりを目指しました。デッキ部分も広くとっているので、水切りスぺースとしても広々使っていただけます。

――使い方はお客様の自由、というわけですね。

山本 100円ショップでなんでもそろってすごく便利にいろんなことができる今の時代だからこそ、ユーザーさんが自分で工夫する余地もたくさん残したいなという思いがありました。メーカーがつくりこんで専用品ばかりにするんじゃなくて、こういう広いスぺースを自分なりに使っていただけるように。

――確かに、自分で考える楽しさもありますよね。汚れやすいカゴなどは安いものにして、汚れたらすぐ交換できるようにしたり。

山本 そうやってお客様にとって付加価値が高いものをインストールできることに価値があると思っています。

――ものが探しやすい「オーバービュー収納」も良いですよね。

山本 上からぱっと見わたせる収納になっています。このコロナ禍、普段キッチンに立たない夫が料理をしたら「ここにあったものがない!」みたいなことが起こっていて(笑)。そういう話をうかがって、じゃあ家族の誰が見てもすぐにものがどこにあるかわかって、ちゃんと元の場所にしまえる収納を目指そうということになったんです。引き出しなどもおたまがひっかかりにくい形にしたりして、形状が変えやすい樹脂ならではのつくりになっています。

――聞けば聞くほど、こだわりのしかけが出てきますね。トクラスキッチンならではのものづくり、本当に感心しきりでした!

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