トクラスキッチン「Collagia(コラージア)」の誕生秘話が聞きたい!(前編)
まるで工芸品のような仕上げや耐久性を誇る塗装技術、こまかなしかけによる使い勝手の良さにも定評があるトクラスのキッチン。最近では、次世代を感じさせるおしゃれな新シリーズも話題です。今回はトクラス株式会社企画開発部のおふたりに、その開発秘話をうかがいました!
(写真左)商品企画室・山本拓人さん
(写真右)技術開発室・紺野良文さん
コロナ禍を経て生活空間や キッチンの在り方にも変化が
――ヤマハリビングテックがトクラスの社名に変わったのは2013年。ちょうどその頃「Bb」シリーズもスタートしていますが、当時はその上位クラスで高価格帯の「ベリー」がスウェーデンハウスのオーナー様の間で人気でした。カラフルなカラーが印象的なキッチンでしたが、その継続モデル「コラージア」では、また雰囲気ががらりと変わりましたね。
山本 「ベリー」は我々からすると当時一番お客さまに対して付加価値がお届けできる商品で、まさに色が楽しめるキッチンとしてご好評いただいていました。ただ、塗装や人造大理石の技術は他のメーカーさんの追随もあり、改めて自分たちの強みを活かした新しいものに変えていこうという構想を2017年頃から始めていたんです。その最中にコロナ禍があり、お客様のニーズにも変化が。ちょうどキッチンの在り方を根底から見直さなければいけない時期にきていました。
――どんな点で変わったのでしょうか?
山本 特に新築のメイン層ではキッチンに立つ人が変わり、女性だけでなく男性も普通に料理をする時代になっているので、その視点での使い勝手もアップデートしています。インテリアにもご夫婦それぞれのこだわりがあって、おふたりでご相談して決められる方が多いですよね。「ベリー」はカラーも豊富にとりそろえて、まさに〝キッチンが主役〟でした。でも「コラージア」は、いかにお部屋のインテリアに馴染ませて、お客様の暮らしのカラーに寄り添っていくかを意識しています。質感も改めてチョイスし直して、落ち着いた仕上げにしているんです。
――マットな質感の塗装扉「リュッケファーブ」は、トレンド感のあるくすみカラーのラインナップが人気ですよね。あの質感はトクラス独自の技術だとか?
紺野 リュッケファーブの塗料には、人造大理石を粉末にしたものが入っています。塗料に粉を入れるという技術は当社の前身であるヤマハ時代から培ってきたもので、その応用で開発しました。工場でどうしても出る人造大理石の端材を粉にして使うので、環境にもやさしい取り組みなんです。
つくり手の愛情が込もったトクラスキッチンづくりの現場
――噂には聞いていましたが、工場を見学させていただいて、人の手で担っている部分が想像以上に多くて驚きました。
山本 そうなんです。本当に人がつくっているんですよ。製造の現場もそうですし、我々らが担っている企画発案の部分も、いいものができるかどうかは常にスタッフ一人ひとりの力量が問われます。
紺野 やっぱり、みんなものづくりが好きなんですよね。トクラスには部署を問わず職人気質の人が多いんです。
山本 うちの会社、樹脂に愛を込めているんですよ(笑)。人造大理石もそうですが、塗装もある意味樹脂なので。開発段階でも、普通ならそこまで吟味したりサンプルつくったりしないよね?ってところまで、すぐやりたがっちゃうんです。自分でも磨けて長く使ってもらうって、そもそもこのキッチンを好きになってもらわないとできないことじゃないですか。好きになってもらうには、つくり手がまず好きじゃないと共感いただけない。ここでは本当につくることが好きな人間が気持ちを込めてつくっているんです。
紺野 トクラスのキッチンはすべてこの本社と同じ敷地内の浜松工場でつくられているのですが、物理的に工場と企画開発担当者との距離が近いということもあるかも知れません。普段から、塗装しているスタッフが「もうちょっとここをこうすると早いんじゃない?」とか、開発のほうに言ってくれたりして、「じゃあこうしてみようか」と改善したりすることも結構あるんですよ。
――本社と工場の風通しが良いですね。
山本 はい。キッチンの製造はすべてここの工場で完結するので。技術系の社員はみんな現場実習から始めますしね。
――皆さん工場で実習されるのですか。
紺野 トクラスの新入社員研修には工場実習が必ず組み込まれていて、いろんな工程を経験するんです。
山本 私も最初は工場でシンクやカウンターの工程に入って、普通につくったりしていたんですよ!
後編へと続く