暮らしの「好き」でまとめられた、心地好い空間
夫婦ふたり暮らしになったのを機に、長年の悩みを解消し、さらに心地好いお住まいへとリフォームされたMさんご夫婦。
リフォームのポイントをはじめ、ご夫婦のDIYやインテリアコーディネート術までたっぷりご紹介します!
築年数 | 21年 | 工法・構造 | スウェーデンハウス |
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気になっていた間取りを新しい装いでブラッシュアップ
どんなにこだわって建てた住まいでも、家族構成やライフスタイルの変化など月日の流れによりお悩みや改善したいところが出てくるもの。Mさんご夫婦の場合、「玄関から丸見えのリビング」と「リビングからドアを開けてすぐのトイレ」の2点だけが新築時の後悔でした。
そこで、娘さんが独立されたのを機に、気になっていたトイレの配置を変えるのと一緒にインテリアも吟味してリフォームを決行。リビングと玄関へ続く廊下の間には、新たにハイドアを設置し、トイレはその廊下側から洗面所を通って入っていける間取りに変更しました。
玄関とリビングの間は斜めに壁をとり付けることで、廊下に鋭角のスポットが誕生。本来だったらデッドスペースになりかねない場所ですが、Mさんのコーディネートセンスで印象的なディスプレイスペースになっています。
壁、ドアの設置とクロス張りはリフォームで施工しましたが、仕上げは工事完了後におふたりでDIY。新しくとり付けたハイドアにはエイジング塗装を施しました。無垢のドアの木目が際立つようになり、まるで昔からそこに在ったかのような佇まいです。さらにドア枠にはモールディングをつけてアンティークな雰囲気に。壁はリビングと同じ色の塗料でペイントして仕上げました。
こだわりがぎゅっと詰まった快適なサニタリースペース
トイレにドアをつけるかどうか、最後まで迷われたというMさん。最終的には広さを優先して洗面所とひと続きのレイアウトを選ばれました。
「お風呂前にさっと行けたりして、意外といいですよ。お掃除も一緒にできちゃいますし、将来的には介護が必要になったときにも良さそうです」
そう語るMさんのこだわりがぎゅっと詰まったのがサニタリースペース。トイレとの間の間仕切りにもなっているタオルウォーマーの影が落ちるのも素敵です。タオルウォーマーは24時間一番低い温度でつけっぱなし、そうすると湿気も取れてカラっとして良いそう。
トイレはイタリアのサニタリーメーカー「CATALANO(カタラーノ)」の壁掛便器「Velis(ヴェリス)」をセレクト。無駄をそぎ落としたシンプルで飽きのこないデザインです。
「広さとしては、本当に一般的な、むしろ狭いくらいなんです。でも、あちこち測って手洗いカウンターの下に洗濯機を収めて、インテリアにも広く見せる工夫をして。トイレに座るとすごく広く感じるので、狙い通りという感じです!」
そう語るMさんのコーディネートで生まれた洗練された洗面台。90cm高のカウンター下に収められたミーレの洗濯機は8kgのコンパクトサイズながらご夫婦ふたりで使うには十分な大きさだそう。天板一枚にしたため、小さな洗面台でも広く感じるといいます。
悩んで選んだ床はタイル敷き。冷たさも特に気にならず、愛犬のマリアちゃんをお風呂に入れるとき、ブルブルされても掃除しやすくて良いそうです。
お風呂のドアも一番高さのあるものを選び、クリアガラスのものをセレクト。ドア枠をタオルウォーマーの黒と合わせたことで、空間のアクセントになっています。降り注ぐお湯が全身をやさしく包み込むレインシャワーもお気に入り。
洗面ボウルはKOHLERのPennington(ペニンシトン)をセレクト。水栓は同じくKOHLERのELLISTON(エリストン)を合わせました。機能性と美しさを兼ね備えたデザインです。
スウェーデンハウスでの暮らしが育んだDIYの愉しみ
おふたりで力を合わせて壁にペイントしたり、棚をとり付けたり。ご夫婦が心地好さを求めてDIYされた空間は随所にセンスが光ります。
愛犬マリアちゃん用の木のペットゲージは、夫のTさんが端材などをうまく利用して自作されたもの。庭の様子を眺められるように、マリアちゃんの目の高さにあわせて設計されています。うららかな日差しが降り注ぐゲージの中では、マリアちゃんが気持ちよさそうにお昼寝をしていました。
お昼寝から目覚めたマリアちゃんをあたたかい眼差しで見守るMさんご夫婦。
こちらのキッチンの扉もご自身の手で交換したもの。サイズ加工から塗装、取っ手の取り付け、設置まですべてDIY。
吊戸棚の下に普段使いのウォーターグラスをかけるためのパーツをとり付けたり、包丁用のマグネットを仕込んだり。「ここにこんなものがあったら便利だな」というアイデアの宝庫です。
階段の踊り場に設置された大きな鏡には空間を広く見せる効果も。
飴色のピーリングの斜天井が印象的な2階ファミリールームは作業部屋。ミシン掛けをしたり、小物づくりをしたりするのにも効率が良さそうなレイアウトです。
寝室の一角にはテレワークができるスペースを設けました。棚でゆるやかに間仕切ることで、広々とした室内空間を生かしつつ、オンとオフが使い分けられる場となっています。
テレワークスペースの隅には、画家であるTさんのお父様が描かれた油絵が。仕事中にほっと心が休まるようなディスプレイが施されています。
子供部屋のペンダントライトの傘は、Mさんがハンドメイドのレースを巻いて自作されたもの。アクセントクロス、ベッドカバーのファブリック、ブラインドのカラーコーディネートが絶妙で、穏やかな空気が流れています。
リビングのほか、各居室の壁も素敵にペイントされていましたが、刷毛を使っていろいろなものを塗るのが大好きだというおふたり。色を選ぶ際にはサンプルをいっぱいもらってきて、しばらく壁に貼っておくそう。そうすることで、光の入り方や照明などで変わる色合いを確認できるのだとか。塗料は100%水性で安心、色みもお気に入りの「FARROW&BALL」で選んでいるそうです。
心惹かれるものたちを一つひとつ迎えてつくりあげた「心地好い住まい」
ご夫婦が一つひとつ吟味されて迎えられたインテリアは、照明ひとつとっても空間の程よいアクセントとなる素敵なものばかり。
「濃い色の壁のほうがファブリックや家具が映えるんです」というMさんの言葉の通り、ヴィンテージヨブスのファブリックパネルの美しさも引き立ちます。
こちらは取材スタッフも思わず「可愛い!」と声をあげてしまったCoral&Tusk(コーラル・アンド・タスク)のポケットクッションカバー。ニューヨーク・ブルックリンのブランドで、デザイナーのステファニー・ハウズリーが世界各地の旅先での経験や、出会った個性的な動物たち、そして自然の美しさなどから得たインスピレーションがコレクションに込められているそうです。
Mさんがご実家から受け継がれたキュリオケースの取っ手には、お手製のタッセルが。玄関に佇むシューメイカーチェアやイギリスのアンティークだというジャバラの裁縫箱など、美しいものに溢れています。
玄関にとり付けられたヴィンテージのフックにも味わいが。帽子やストール、コートなどをパッとかけるのに便利なのだそう。
思わず時間を忘れて魅入ってしまいそうなアイテムの数々、ご夫婦の「好き」でまとめられたスウェーデンハウスには、おふたりが暮らしを愉しみながら育まれた心地好さに溢れていました。