新旧「オイルスマッシャー」の開発秘話が聞きたい!(前編)
レンジフードのお手入れを変えた「オイルスマッシャー」が誕生したのは、2014年のこと。そこから、さらなる研究によって進化を遂げたのが2020年。お手入れのしやすさを追求するとともに、静音性も高められました。調理に合わせて運転を制御することで、エコにもなった第二世代。その開発の舞台裏とは?
(写真左から)
UX開発本部 要素開発グループ 越智 貴志さん
UX開発本部 企画開発部 先行設計課 山岸 智和さん
UX開発本部 企画開発部 先行設計課 佐竹 裕太さん
さらに静音性も追求されたオイルスマッシャー第二世代
――FUJIOHのレンジフードと言えば「オイルスマッシャー」ですが、第二世代はどんな進化があったのでしょうか。
山岸 初代オイルスマッシャーはグッドデザイン賞もいただきましたが、購入の選択肢から外れてしまう理由のひとつが、「音の大きさ」でした。
――確かに、お施主様から音を気にされる声もありました。
山岸 ファンとは別にディスクが高速回転するので、少し音質も違うんですよね。第二世代では、油を取る性能を保ちながら、風を流れやすく抵抗を抑えることで、静音性を追求しました。ディスクや周辺の形状を最適化したんです。
――なるほど、空気抵抗をなくすために流線形にする車の開発みたいですね。
山岸 そうですね。ただレンジフードの場合、完全に抵抗をなくしてしまうと油をキャッチすることができなくなってしまうので、そのせめぎ合いです。
――新しい機能として、「風量おまかせ運転」というものもありますね。
佐竹 赤外線温度センサーで調理の状態を検知して最適に制御するものです。油煙が多く発生しているときは強運転、少ないときは弱運転になり、ディスクの回転数も調整されます。
――その分エコなわけですね。それはどんなふうに開発されたのでしょうか。
山岸 4人家族の1週間分として、29種類の調理メニューを定義しました。ハンバーグや焼き魚、カレーなどをつくりながら、それぞれどんな材料をどんな工程でつくるのか検証など。その定義した調理における動作確認を数百回というレベルでトライ&エラーを重ねました。
想定外だったのは、料理をお皿に盛るとき。フライパンをコンロから外すと、五徳やIHのトッププレートが露出して、そこが高温になっているので、突然「異常な高温」が現れたように検知されてしまうんです。それが何の熱なのか判別する必要が出てくるわけですね。
――確かに。そんな細かなシーンまで想定しながら開発されているんですね!
「まわしてみたらどうなる?」発想の転換から生まれたしくみ
――そもそもオイルスマッシャーは、どんなきっかけから生まれたのですか?
越智 レンジフードの課題というと、やはり一番は清掃性です。調理で発生する油煙やほこりを含んだ汚れが内部に入らないよう、グリスフィルターを付けて「毎月お掃除してください」とお願いしているわけですが……私もなかなかできません(笑)。それで年末の大掃除で見てみると、目がつまっているんですよね。「もっと簡単にお手入れできるものを」というのは、社の命題でした。
そうしたなか高性能フィルターの開発を続けていたところ、別のレンジフードの開発で円盤状のフィルターを扱う機会があったんです。それを当時の開発担当者が、「まわしてみたらどうだろう?」と軽い発想で試してみたんですね。そうしたら、油の捕集率が一気に高まったんですよ。これは面白いということで、なぜ捕集率が上がるのか、どうすれば「お掃除不要」とまで言えるのか、その条件出しをしていきました。
――どんな要素が関わるのですか?
越智 油の捕集性能を上げようとすると抵抗が増えるので、吸い込み性能を維持しながらベストバランスを見つけるのが課題でした。フィルターの目の形状や回転数、ディスクの大きさなど、さまざまな要素を検証した形なんです。
――原理として優れていても、それを生産ラインにのせる必要もあります。コスト面や再現性まで、考え抜かれているのでしょうね。第二世代ではディスクのつまみがとれるようになったのも、洗いやすくなってうれしいポイントです。
山岸 初代はディスクとつまみが一体型でしたからね。でも、このディスクは、自動車のホイールに匹敵するようなレベルの高速回転をするんです。通常なら、ボルトやナットでしっかり固定する必要があるようなものをワンタッチで外せるようにしたんですね。強く保持しながら回転がぶれないよう、ガタガタ異音が出ないようにと、この形になるまでかなり悩みました。
佐竹 今はLDKが一体になっていることが多いので、レンジフードの音も気になりますよね。こうして音とのバランスを取ることも大切なんです。
後編へと続く

